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活動報告

インドネシア

プロジェクト2:集落協働による劣化した森林跡地への植林活動

manggis

engkalas

このプロジェクトはインドネシアカリマンタン島・トゥンバンティティ地域において、 2007 年末から 2008 年度中に現地 NGO ディアン・タマ財団によって実施された緑化活動で、ディアン・タマが周辺の村人と共に『 5 万本の苗木作り』を行い、そこで育成された苗木を村人に配布して植えてもらうというものでした。

このプロジェクトでは、ディアン・タマが中心となって、村人と協議を重ねながらひとつひとつのプロセスを大切にして緑化事業に取り組みました。育成する苗木についても、村人の希望を取り入れて樹種を多用にし、森林を構成する在来種の苗木や果樹の苗木のほか、ゴムの木やヤトロファなどの収益を得られる樹種などをとり合わせて、最終的には6万本以上の本数を育てました。これらの苗木が大きく育ち、現地の環境と村人の生活に自然の恵みがもたらされるよう、皆で見守っていきたいと思います。

苗畑作り実施地域

7 村/部落

実施項目

・苗木小屋の建設・苗畑予定地の土地整備・種まき~苗木育成 堆肥作り・土作り(堆肥と土を混合する)・苗木をポットに移す・水遣り

苗木の種類と本数

・苗木小屋の建設・苗畑予定地の土地整備・種まき~苗木育成 堆肥作り・土作り(堆肥と土を混合する)・苗木をポットに移す・水遣り

エンカラス(ガハル)は芳香性樹脂を含む木で、それが香水の原料となるため非常に経済性の高い木となっています。インドネシア政府もこの木の植林を奨励しており、今回のプロジェクトでも村人からこの木を植えたいという要望が強くありました。香水の原料として樹脂を採取するまでには通常 7 年~ 10 年かかりますが、最近ではもっと早くできる新しい技術が開発されたということです。

また、日本からの要請が高いヤトロファの栽培にも着手しましたが、現地の村人たちにとってヤトロファはまだ市場に出回っていない作物であるため経済価値が定まっておらず、今回の苗畑作りにおいては別の樹種に対する希望が多かったため、当初の予定よりも本数を減らしました。

予定された樹種の中には種の入手が困難なものもあり、調達には非常に労力がかかりました。遠方まで探しに出かけ、他県から調達するものもありました。

ドリアンの種子

ドリアンの苗木

技術講習について

まずこのプロジェクトを実施するにあたって、地域のコミュニティの人々に様々なトレーニングを行いました。炭焼きの方法、炭を使った堆肥作りの方法、苗木の選定から育成、そして苗木の維持管理方法についてなど、たくさんの時間を費やして技術講習を行いました。 当初、現地住民に苗木を実際に植えるのとは別の場所で適切に育成する方法について理解して実施してもらうのは簡単なことではありませんでした。彼らは日常では、まだ伝統的な農耕を行っているので、今回のように一度に大量に質の高い苗木を作る作業は初めてで、なかなか要領を得ませんでした。

また、別の困難もありました。この付近の村では家畜を小屋に入れておくという習慣がないので、苗木を家畜の被害から守るのは大変な仕事となりました。

炭を使ったコンポストの作成

急遽、家畜よけのフェンスをつくる

苗木の利用について

苗木作りは2008年1月~8月にかけて行い、植林は9月~12月の雨季にかけて実施するというスケジュールで、苗木の60%(約36,600本)は、ディアン・タマ財団自身の手により荒廃地に植林され、残りの約24,400本の苗木はトゥンバンティティ地域とその近隣の16村に配布されました。この苗木が成長し、果実やその他の収穫が得られるには早くても10年はかかります。

今回の活動を通じて、この地域において持続可能な森林経営と地域主導の森作りの技術革新が図られました。この地域の村人たちはアグロフォレストリー( 樹木を植栽し、樹間で家畜・農作物を飼育・栽培する農林業)を行うことにより 生計を立てていますが、情報が少ないこれらの地域に新しい技術を伝えていくことにより、彼らが自分たちの手で持続可能な森林管理を実現できるようにするための活動の一環として今回の苗木作りが実施されました。植林活動としてただ単に植えるだけでなく、長い期間をかけて豊かな森を守り育てていくためには、森林環境を損なわずに人々の暮らしの向上をもたらす知恵と技術がますます必要となっています。

活動実施団体:Yayasan Dian Tama(ディアン・タマ財団)

農村の生活向上と環境保全の両立を考えていたUtama兄弟が、20年前、西カリマンタンで捨てられているヤシ殻の炭化事業を思いついたとことから活動が始まった。当時いたる所に廃棄されていたヤシ殻は雨水がたまってマラリヤ蚊の発生源にもなっていた。これをドラム缶を使った簡単な炭化法によって炭にし、その方法を村内で指導して農民の所得向上につなげた。炭焼きの専門性を高めていく過程で日本の炭焼き研究会と出会い、炭を軸にした環境保全、有機農業事業などを日本と共に展開し、持続的森林経営のためのモデル林づくりなど、総合的農村開発事業を展開することとなった。