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活動報告

インドネシア

プロジェクト3:センタルム湖周辺の湿地林保全のための植林活動

植林場所

植林地選定のための調査。
湿地帯での植林は時期が限られている

カリマンタン島・西カリマンタン
ダナウセンタルム国立公園内エンパイク村およびスマラー村

エンパイク村はダナウセンタルム(センタルム湖)国立公園の緩衝地帯に位置する、先住民族のイバン・ダヤクが居住する高原地帯です。またスマラー村はダナウセンタルム国立公園内に位置し、マレー族の居住する地域となっています。この2つの村で過去数年間の森林火災で被害を受けた土地をプロジェクトエリアとして植林活動を実施しました。

植林樹種

  • 【エンパイク村】
  • ゴムの木: 5000 本、メランティ(フタバガキ科): 5000 本、テンベス:13000 本
  • 【スマラー村】
  • テンベス:23000 本

植林実施方法

  1. 苗木・種子を森林から採取し、ポリバッグ(ポット)の苗床で 2~3ヶ月間育成
  2. 地拵え・苗木の移植前に火災の残渣や潅木の片付け
  3. 植樹・苗木を植えるまえに杭打ちを行い、苗木の根が伸びやすいよう大き目の穴を彫掘る、苗木を入れて土を戻し、水遣りを行う
  4. 維持管理2~3ヶ月ごとに雑草刈りを行う

ゴムの木の苗木

メランティの苗木

この活動への参加者は地域のコミュニティからの参加で、2村合わせて60人となりました。彼らは46,000本の苗木植林の実施に携わり、それぞれの村の30人が23,000本の苗木を植林しました。
植林に先立ち、2008年の1月にエンパイク村で調査を実施しました。3月初めにはエンパイク村の地域コミュニティと会合を開き、40人の参加がありました。このコミュニティと当団体(リアック・ブミ)とが共同で植林地の選定を行いました。コミュニティの人たちは国立公園内と緩衝地帯の2箇所を選定し、緩衝地帯のほうにはゴムの木を植えることを提案しました。

会合で植林場所を決めた後、コミュニティの人たちは畑の収穫の時期であったため、すぐに苗畑作りに着手することはできませんでしたが、3月末になってようやく苗畑作りを始めることができ、その後の地拵えや穴掘り、杭打ちなど活動を進めていきました。

3月中、エンパイク村での苗畑作りを待っている間、スマラー村での会合を実施し、低地と高地の2箇所で植林実施場所の調査を行いました。
村人との会合の後、テンベスの苗木約23,000本と、苗畑作りのための資材を配布しました。スマラー村では、当初村人たちの希望で、レッドバロー(フタバガキ科)やウォーターガムの苗木も育てる予定でいましたが、それらは苗木として配布できるくらいの大きさになる前に枯死してしまうものが多く確保することができませんでした。しかし村人に配布できた苗木の数は目標数よりずっと多く、およそ1000本の予備ができ、植林やメンテナンスの段階で枯れてしまう分をカバーするために取っておくことにしました。

スマラー村では土地整備と植樹を2008年8月7日に開始し、各グループごとに5日間かけて行いました。湿地帯の水はまだ高い水準にあったので、植樹予定地までたどり着くのも容易でなく、この作業は簡単にはいきませんでした。30人の参加者が3グループに分かれて3か所で植林を実施しました。

植林後20日経った頃、水位が上昇し始め、植樹した場所も再び水に覆われ始めました。村人たちはすぐにメンテナンス作業を始め、だめになってしまった苗木をチェックして植え直し、周囲の雑草を抜きました。その後の村人の観察によると、苗木は水没した状態にもかかわらず約60%の苗木は生存しているという報告があり、テンベスの木は水に強く、湿地帯の生息環境に合っているらしいことがわかりました。しかし水没した状態で生き残れなかったものが多くあったことも確かです。水量の状態に対して影響を受けやすい湿地帯での植林は非常に挑戦的な試みです。しかし活着率の低いのを見越して予備の苗木を用意できたことが功を功を奏して、すぐに補植することができたことはよかったと思います。

エンパイク村では土地整備と植樹は2008年10月23日に開始しました。23,000本の苗木は32世帯の参加者に分けられたので、1世帯あたり719本となりました。女性の参加者も10人ほどあり、全員が一緒に力を合わせて植林を実施しました。樹間距離は通常5メートルで実施していますが、村のコミュニティの意見を採用して3メートル間隔としました。
植樹後半年の時点で、植えられた苗木の80%が活着していました。うまくいかなかったのは、おそらく移植による枯死で、新しい土地の条件に苗木がなじめなかったためと思われます。各世帯には約700本の苗木が分配されましたが、それぞれの家庭で今後さらに追加植林を実施するつもりでいます。各世帯では植林木の周囲の雑草や不要木を刈る作業も行って、苗木のメンテナンスを実施しています。

苗畑作り活動

テンベスの苗木

この植林プロジェクトはセンタルム湖の森林地帯、とりわけミツバチの営巣する森林の維持に対して大きなインパクトがありました。短期的には植林地は住民によって特に注意深く守られることになるため、森林火災の被害に遭うことが少なくなるという効果があります。長期的にはこの植林木は森林を形成して生態系を豊かにするとともに、ミツバチの採蜜源となり、村人の生活にとっても利益を生むことになります。

このプロジェクトはまたオイルパームプランテーションがこの場所に入り込むのを防ぐ効果的があります。オイルパームプランテーションの操業計画はこのセンタルム湖国立公園の周辺エリアまで拡大されており、村人たちの脅威となっています。エンパイク村のコミュニティは、この植林プロジェクトが実施されていることにより、オイルパーム企業がこのエリアに入り込むことを防ぐことができるのではないかと話しています。
このことからも、このプロジェクトが継続していけることが望まれます。それにより多くのひとびとが、この地域にパームオイルプランテーションに代わることを拒否できるようになり、豊かな自然が守られていくのです。

活動実施団体:YayasanRiakBumi(リアック・ブミ財団)

私たちリアックブミはインドネシア・西カリマンタンに拠点を置くの地域密着型自然資源管理NGOです。
当団体は、先住民コミュニティの生活改善と、自然生態系バランスの健全化を目指して2000年9月に設立されました。

活動地は、カリマンタンの重要な保護地域として指定されている湿地帯・ダナウセンタルムの国立公園で、その周辺にあるコミュニティとともに活動を行っています。創設者はこの地域に生まれ、1995年以降ダナウセンタルム地域の保護とコミュニティ開発に熱心に取り組んできました。環境保全とコミュニティの健全な生活の両方を達成するには、ローカル・ピープルの力を向上させることが最も大切だと考え、ローカルコミュニティの自然資源管理におけるキャパシティ向上や、環境保全に対する知識や技術の向上をはかる活動を実践しています。

リアック・ブミという名称は、インドネシア語でRiak=さざ波・波紋、Bumi=地球という意味です。
私たちのひとつひとつの行動はさざ波を起こし、やがて未来に向かって大きなインパクトを作っていくのだという思いを込めてこの名前をつけました。今、私たちの活動は小さいさざ波に過ぎないけれど、将来はそれが大きな波となることを願っています。