ブラジル・熱帯雨林の現状
南米大陸の赤道をはさみ南北に広がるアマゾン熱帯林は、ブラジル、ボリビア、ペルー、エクアドル、コロンビア、ベネズエラ、スリナム、ガイアナの 8 カ国と仏領ギアナにかけて広がる世界最大の熱帯林です。
この熱帯林は、多くの二酸化炭素を吸収し酸素を放出することから『地球の肺』とも呼ばれています。また、生物多様性に富んだ場所でもあり、アマゾン熱帯林の60%を占めるブラジルの森林には世界の植物種の約20%、鳥類の20%、哺乳類の10%に相当する5万6,000~6万2,000種の高等植物(コケ類、地衣類、菌類は含まず)※1と多くの哺乳類が生息しているといわれています。
しかしながら、その豊かな森林も牧場への転換をはじめ、バイオ燃料ブームによる大豆やトウモロコシ等の穀物栽培農地への転換、違法伐採、土地なし農民による違法開墾など様々な要因によって年間219万4,000ヘクタール(2005年~2010年平均)※2のペースで消失し続けています。近年、政府やNGOの取組みにより消失面積は若干減少傾向にあるものの地球温暖化防止や生物多様性保全のため、引き続き早急な対策が求められています。
※1 : Blaser, J. et al. (2011). Status of Tropical Forest Management 2011.ITTO Technical Series No 38. ITTO 環境省forest partnership platform HP
※2 : FAO. Global forest resources assessment 2010 country report: Brazil、環境省forest partnership platform HP
EFFの取組み
EFFでは、パートナーである現地NGO ASFOLA (アマゾン森林友の会)と協働し、アマゾンの熱帯雨林の再生に向け以下の事業を展開しています。
プロジェクト
河岸林保全事業(2013年~)
近年健康食品として注目を集めているアサイー(学名:Euterpe oleracea)は、ブラジルのアマゾン地域原産のヤシ科の植物です。アサイーが分布する地域は、アマゾン水系の河岸低湿地(流域面積の約5%、約30.7万平方キロ)で、洪水を緩衝する季節性浸水林に縁取られ、アサイー椰子をはじめ野生の果樹が多く、魚や鳥類の採餌や繁殖の場所となっています。しかし、国際的なアサイーブームの影響によりこうした多様性に富んだ河畔林では急激に他樹種の除伐がされ、林内の湿度低下や落葉の減少、浸食による土壌劣化など招き、結果としてアサイーの収量、質とも低下しています。
そこで当法人は、現地カウンターパートNGOのASFLORA(アマゾン森林友の協会)の協力を得て、アマゾン地域でアグロフォレストリー支援事業の技術、知見を天然アサイー集積地の一つであるパラ州アバエテトゥーバ郡トゥクマンドゥバズィンニョ集落に普及することで、河畔林生態系の保全と地域住民の収入の向上を図る活動を開始しました。
2016年活動報告
2015年活動報告
2014年活動報告
2013年活動報告
環境配慮型森林農業支援事業(アグロフォレストリー型植林 2009年~2014年)
アマゾン熱帯林の70%が分布するブラジルでは、「INCRA(植民農地改革院)」が中心的な役割を果たし、土地を持たない農民に国有地などを再配分する施策を実施しています。
しかしながら、この施策により入植した小規模農民は、農業経験・知識を持たない場合が多く、入植時に分譲された森林を焼畑農法により過剰に伐採したり、耕作放棄するなど当該地域の熱帯林の荒廃に繋がっています。
そこで当団体は、現地NGO ASFLORAと連携し2008年より入植後に過度な焼畑を繰り返さず、適切に森林を守りながら持続可能な農業を推進するため、アマゾン河口にあるベレン市郊外の入植地で森林農業(アグロフォレストリー)導入支援活動を始めました。
この事業では、まず薪炭材利用や過剰な焼畑等により劣化した土地を回復させるため、農民の土地へ樹木と同時に様々な果樹や農作物を植え付けます。その後、現地NGOスタッフが定期的に訪問し、施肥や除草など基本的な農業技術・知識を指導しています。果樹類のうち、早いものは数ヶ月で実がなり、自家用としても利用でき、また余ったものは近隣の市場で換金することも可能です。
この様な環境配慮型の森林農業(アグロフォレストリー)の導入支援により、小規模な農民による過剰な焼畑・伐採を防ぎ、荒廃・消失した森林の回復および保全と、持続可能な森林の活用を目指しています。
アグロフォレストリー(Agroforestry)とは
樹木を植栽し、樹間で家畜・農作物を飼育・栽培する農林業。
「アグロフォレストリー」と言う用語は、 1970 年代中期のカナダ国際開発研究センターの林学者 ベネらが主導する思想的研究の中で誕生した。農林複合経営(のうりんふくごうけいえい)、混農林業(こんのうりんぎょう)、森林農業(しんりんのうぎょう)ともいう。アグロフォレストリーは、組み合わせる樹木や家畜・農作物が地域によって異なるため、地域ごとに様々な形態をとりうる。(Wikipedeiaより引用)
2014年活動報告
2013年活動報告
2012年活動報告
2011年活動報告
2010年活動報告
2009年活動報告
学校林再生事業(2010年)
パラ州ベネビーデス市近郊にて地域の学校と連携し、都市化に伴い原生林がほとんど失われ、低い灌木や雑草が生茂る荒地となっている学校の周辺地域にて、教員や子ども達を対象としたアマゾンの熱帯雨林の復元を目指す植林活動と環境教育プログラム 【森の劇】を実施するプロジェクトです。
環境教育と植樹活動支援事業(2005年~2007年)
NGO・ASFLORAが、市民や子ども達と共に行う植林活動と、青少年を対象に「アマゾンの森を知り、護り、活かす」ためのきっかけとする環境教育プログラム(森の劇)への支援を2005~2007年まで実施しました。環境教育プログラムは、周辺の学校、市役所等から好評で、参加希望者に応じきれないほどとなりました。また、植樹活動を通し子供たちの生き物、自然に対する慈しみと、優しさが育ってきたと、教職員、父兄から嬉しい反響が寄せられました。
※植樹活動と環境教育プログラムは、アグロフォレストリー事業の中で「キッズ植樹祭」と題して引き続き実施されています。
森の劇について
森の精・祈祷師 、クルピーラ 、老木 、オウム 森の小人など様々な登場人物が、森の中を見学する子供達の前に現れ、それぞれの役割や森の生態の話をします。そして、どのようにアマゾンの森を保全し、自然との調和を図るべきなのか登場人物も交え一緒に考え、学べる体験型プログラムです。
プロジェクト・パートナー
2000年12月、商業利益を目的としない科学、技術、社会貢献分野での法人(NGO)として登録。環境保全、環境教育、植林、情報交換を行いながらアマゾン地域の持続可能な環境、文化、社会、経済の発展に貢献することを目的としています。