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活動報告

タイ

タイ山岳地域の現状

タイ北部山岳地域では、ここ数年の急激な気候変動により、乾季には水源が枯渇して水不足になり、雨季には長期の豪雨による土砂崩れが村を襲うという環境悪化の状況が続いています。そのため農作物の被害は日ごとに激しくなり、収穫量は著しく減少しています。また、国外へ輸出する換金作物の栽培が行われるようになってから、耕地を拡張したり、連作を続けたり、化学肥料を使用するなど環境破壊に拍車がかかるような状況が続いています。
もともと、カレン族など伝統的な山岳民族は、以前は主に約10~13年周期の移住生活を送りながら、焼畑輪作による陸稲栽培農法を行い、森との共存生活を営んできました。しかし40年ほど前に、タイ政府が多くの地域を国立公園指定地域と定め、山岳民族の移住を禁止したことにより、焼畑をして輪作できる面積が極端に狭い範囲に限られ、伝統的な移動耕作の生活は一変しました。

焼畑によって切り開かれた森林

川の氾濫で流された水田(ソプラン村)

かつては10年以上だった輪作周期はほとんどが3年という短い周期を余儀なくされることになり、また一方で、人口増加や近代化による現金収入の必要性などから、新たに換金作物を栽培するために耕作地の需要はますます膨れ上がりました。 その結果、森林破壊や土壌劣化が進み、その上、気候変動の影響と思われる水源地の枯渇や豪雨による土砂災害などが重なって、村人の生活環境は悪化の一途をたどっています。

EFFの取組み

EFFは、このような状況を少しでも改善する方策として、村人自らが森や自然と共生した生き方、持続可能な農林業を営むことが重要であると考え、現地NGOと共に村人の意識改革活動に勤めています。村の有志を中心に環境委員会をつくり、村の問題点と解決策を話し合い、生活の質の向上と自然保護について議論を重ねています。例えば、木を伐らずに水源地の森を維持することが麓の農業にも良い結果をもたらすことがわかると、村人たちは森林活用のルールを策定したり、森林保護活動に参加したりするようになります。

タイの村人とEFFスタッフ

棚田づくりに取組む村人

また、焼畑を減らし、別の方法で収穫を得る方法が検討され、森を焼かずに定地農業をするための棚田作りや森の中で作物を育てるアグロフォレストリー、化石燃料に頼らずエネルギーを自給自足する自然エネルギープラント作りなど様々なプロジェクトが村人たちから発信されるようになります。
EFFでは、積極的な村人に最大限の賛辞を送りながら、時に必要な資材を提供し、時に人材を送って指導を続け、持続可能な農林業が広がることを目指しています。人々が将来も安心して住み続けることができる持続可能なエコロジー村として発展できるよう以下のプロジェクトに取り組んでいます。

現在支援・実施しているプロジェクト

2009

チェンマイ県オムコイ郡ヤンピアン行政区で、持続的農業の手法としてタイ国も推奨している「統合農法-Integrated Farming 」を普及させるための人材育成と農業技術について様々なトレーニングを実施するプロジェクトです。

これまでに支援したプロジェクト

2008

ナーン県プア郡プーカー行政区で、これまでの焼畑(陸稲栽培)から山を焼かず、連作が可能で単位収量も多い水田(棚田)へ農法を変えていくプロジェクトです。今までより少ない耕作面積で生計をたて、かつ、これまで焼いてきた焼畑地だった場所に森林を回復させることで、生態系の保全や温暖化防止に寄与することを目指しています。

2007

ランプン県トゥンファチャーン郡で、地球温暖化防止と経済効果を狙いとして、地場資源であるジャトロファや、牛糞を利用したエネルギー開発ネットワークを推進し、農業活動と日常生活に使うエネルギーをカーボンフリーに切り替えるプロジェクト

プロジェクト・パートナー

ラックス・タイ財団

タイ各地、及び隣接諸国の経済、社会開発及び国民生活向上を目的に1979年ケアタイランド設立。1997年ラックス・タイ財団としてタイの財団法人認可。主に自然資源保全活動農民の収入増進活動、AIDS予防教育、ケア活動、環境衛生教育活動をコミュニティと一体になって取り組んでいます。

ラックス・タイ

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タイマップ