2014年活動報告
2008年からスタートしたブラジル、パラ州のサンタバルバラ郡内エスペジット・リベイロ入植地における森林農業(アグロフォレストリー)の支援事業は、入植者組合組ATRAER(エスペジット・リベイロ環境農業者協会)が苗木生産施設等の基盤や、森林農業に関する基本的なノウハウを有して来たこと、組合組織の自立を促す意味合いもあり、本年度で一区切りとすることにしました。
最終年となった本年も、現地カウンターパートNGOのASFLORA(アマゾン森林友の協会)の協力を得ながら支援事業を実施し、農家4軒に対して最も必要としている有機肥料と農具等を支給しました。また2014年8月27~28日にかけて同入植地の21名の農民がアグロフォレストリーの先進地トメアスーで、前年度同様アグロフォレストリーに関する技術研修会に参加しました。同研修会は、WRS/CAMTA(トメアスー農協)、HIDRO社、東京農工大その他団体が主催し、トメアスー方式アグロフォーレストリー(SAFTA)を学ぶ絶好の機会となっています。同入植地のATRAER会員の大半は、まだ自営農として必要な資材を購入するだけの資力(資金)を欠いている。しかし、当地における7年間の支援は自立への足掛かりになってきている様子で、少しずつではありますが、肥料、石灰などを買い入れて畑に施しているのを見かけることができるようになりました。スタート当初の入植地は、焼畑で無残に切り開かれた森林があちこちに見え、また農民もアグロフォレストリーに対して懐疑的でしたが、7年間の支援の成果として、ATRAERが組織化され、自分たちが使う苗木の生産基盤が整うなど、少なくとも単なる焼畑耕作からは脱却し、各入植者がトメアスー方式アグロフォーレストリー(SAFTA)を取り入れつつあります。
そして、2014年12月11日には、エスペジット・リベイロ入植内地内の耕地一画で恒例の植樹祭を実施しました。今年度の参加者は地元や近隣の町の5つの学校の児童、生徒、教職員、近辺住民の子供たちと父兄、地元市役所職員、ATRAERの協会会員、同婦人会メンバー、カウンターパートNGOの Asfloraメンバーなど260名にのぼりました。当法人からも7年間の総括と実績確認など兼ねて理事長の古瀬が現地に赴きました。
当日は300本の苗木を植樹し、その後、年明け1月中旬までに53樹種、合計2,507本、0.1haの植樹を完了させました。植樹地はジェニパウーバ街道(アスファルト道路)のエスペジット入植地入口より約2㎞地点、7年前に森林を伐採し開拓した耕地の一画で、Zila Sobrinho Queiroz氏の耕地内で道路に面した一画でした。耕地を植樹地として提供したZilaさんは、ATRAERの会計役員を務め、これまで当地での活動に理解を寄せてくれ、協力を惜しまない人です。今回の植樹が、子供たちと地元民に自然保全と農業の調和を体感して貰う意義に賛同し、婦人会メンバーと共に積極的にこの行事をサポートしてくれました。