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活動報告

ブラジル

河岸林保全事業 2014年活動報告

現地カウンターパートNGOのASFLORA(アマゾン森林友の協会)の協力を得て実施してしているアマゾン地域での河岸林保全事業は2年目となりました。
本プロジェクトの背景は、生物多様性に富むアマゾン浸水林(ヴァルゼア林)原産のアサイー椰子が、近年、健康食品として国際的に流行し、経済価値の低い他樹種の急激な違法除伐が進行していることです。その結果、魚や鳥、昆虫が減少するなど、浸水林の生態的機能劣化が起こり、結果として林内の湿度低下、落葉枝減少、浸食による土壌劣化など招き、アサイーの収量・質とも低下する状況がおきています。地域住民に対し違法除伐を止めるよう奨励するには、これに代る持続的な収入向上の道を彼らが実践できる具体的な方法として示す必要があります。
初年度2013年はパラ州アバエテトゥーバ市トゥクマンドゥバズィンニョ集落で、アグロフォレストリーの試行段階として、後背地において経済的価値の高いアサイー椰子、カカオ属果樹に在来有用樹種数種を混植、林床に耐水性のある有用草本植物を耕作する実験を行いました。混植エリアの生育状況は良好で、実験地を提供してくれた住民も手応えを感じている様子です。

今年度は、前年度の成果と浸水域でのアグロフォレストリーを地域に横展開し、波及させて行くため、アグロフォレストリーの展示圃場(モデル圃場)を設置しました。展示圃場の設置場所については、前年度から本事業に関心を示し、プロジェクトの意義・趣旨に賛同してくれたアバエテトゥーバ市サンジョアンバチスタ集落のRaimundo氏が土地を提供してくれました。展示圃場の面積は約0.6ヘクタールで、アサイー林の中にカカオ、バナナ、インガなどの樹種を混植しました。技術移転モデルとなるテラ・フィルメ(年中浸水しない陸地)でのアグロフォレストリーと異なり、雨季になると浸水域が増え、増水時には植え付けた苗木が浮遊する枝葉に押し倒されたりすることから、これに対処する簡易な苗木の保護柵を設置するなどの工夫が必要なことを学びました。 展示圃場設置後は、専門家が定期的に地域を訪問し、技術指導のみならず、地域住民との会合を持ち、本プロジェクトの意義を説明するなど啓発活動に努めています。また3月21日には地域住民15名が集まり、本プロジェクトに関する勉強会を開催し、アグロフォレストリー簡単な講習を行いました。こうした中で、自分の土地でも少し試験的に試してみたいと言う地域住民が出て来ているため、今後数年かけてこうした普及啓発活動を続けて行く予定です。

    

展示圃場の看板前で地域住民に対して
本プロジェクトの説明を行う専門家

  

展示圃場は雨季になると1日2回
3~4時間は水に浸かっている状態になる