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活動報告

タイ

自然エネルギープロジェクト(2008年)

タイのCO2排出量は世界で第31位、アジア諸国では第4位の温暖化ガス排出量です。全体の10.4%を占めるという農業活動によるCO2排出量を少しでも削減するために、山岳地帯の村では、地球温暖化防止と経済効果を狙った地場資源利用のエネルギー開発ネットワークを推進し、農業活動と日常生活に使うエネルギーをカーボンフリーに切り替えるという試みを始めました。地場資源のなかでも村に自生するジャトロファ(タイ語でサブダム)と家畜の糞に注目しています。

自然エネルギープロジェクト活動報告写真1

ジャトロファオイルのトラクターでドライブをする

自然エネルギープロジェクト活動報告写真2

小学校グランドの周囲に植えたジャトロファ

ジャトロファ(サブダム)オイル・プロジェクト

ジャトロファ(サブダム)は村のどこにでも自生していて、農地の柵にしたり、電気のなかった頃はこの実を砕いて松明にしていました。この地域では、地球温暖化問題が浮上する前から、ガソリンの高騰に伴って、ジャトロファ(サブダム)のオイルをトラクターや水ポンプなどの燃料として使う活動が始まっていました。

まずはより多くのジャトロファ(サブダム)を収穫するため、2005年に村の活動メンバー450人で2,500本の植林を実施し、その後も毎年植林を続けてきました。さらにドンムーン小中学校の敷地内に搾油工場を作りました。ジャトロファ(サブダム)は植えてから最初の収穫まで3年かかるので、2008年から実の回収を開始する計画で、それまでに殻剥き機、搾油機、フィルター機も購入し、2008年3月から稼動を始めています。

2008年活動報告

植林したジャトロファ(サブダム)4,500本の内2,000本に実がなり、1年間で500kg収穫しました。平均4.35kgの実から1リットルのオイルが絞れるので100リットル搾油しました。1リットルのオイルでトラクターが約17-20km走り(ディーゼルと混合50対50)、これで約16アールの耕作地を耕すことが出来ます。また小型脱穀機の燃料として利用すると、1リットルのオイルでは大体200リットルくらいの米を脱穀することができます。まだ試験段階ですが、村ではジャトロファ(サブダム)バイオディーゼルでエネルギーの自給を目指しています。

ジャトロファ(サブダム)の搾油カスは堆肥としても有望で、肥料を買わなくても済むようになります。CO2の排出を防ぎ、地球温暖化防止に役立てながら、経済効果も期待できるプロジェクトです。

自然エネルギープロジェクト活動報告写真3

ジャトロファの実、黄色くなり完熟して黒く硬くなる

自然エネルギープロジェクト活動報告写真4

ジャトロファの実、黄色くなり完熟して黒く硬くなる

自然エネルギープロジェクト活動報告写真5

ジャトロファの搾油機、1時間で2-3リットル搾れる

家畜の糞を使ったバイオガス・プロジェクト

タイの村ではどこの家でも牛、豚、鶏などの家畜を副収入源または食用として飼っています。その糞を有効利用し、メタンガスを調理に使用、滓を肥料にするというのがこのプロジェクトです。1頭の牛の糞で1日約2時間の調理が可能です。
バイオガスタンクは3mほどの穴を掘って下水タンクを埋め込み、その上に密封性の良いガスタンクを浮かせるという簡単な作りです。牛の糞を水と一緒に流し込み、しばらくするとガスが溜まってくる。パイプを通して調理器具に誘導すれば普通のガスと同様に使用できます。設置にかかる費用は約30,000円程度、村では貸付制度を設けて月1,500円ほどで設置できるようにして普及に努めています。メタンガスの温室効果はCO2の20倍ともいわれ、この装置を取り付けることによって、温暖化防止にも役立ちます。
カレン族は、「森の民族」と呼ばれるほど村と森林が密接した関係で暮らしてきました。貧困問題は深刻ですが、学校や村の長老などが中心となって環境保全に取り組んできた結果、薪の使用による森林伐採に変わるエネルギーを希望する村人が増えてきました。バイオガスの導入によって、薪の使用が減り、牛の飼育によって副収入が期待できます。また、肥料の購入費用も節約できて、村に果たす役割は大きいといえます。

自然エネルギープロジェクト活動報告写真6

土をプラントの大きさに掘る

自然エネルギープロジェクト活動報告写真7

筒状の枠を穴に埋め込む(2層)

自然エネルギープロジェクト活動報告写真8

ガスをためるための鉄製の筒

自然エネルギープロジェクト活動報告写真9

完成したバイオガスプラント

自然エネルギープロジェクト活動報告写真10

管を通してメタンガスは台所に運ばれる