生態系保全型統合農法を推進する村づくりプロジェクト(2010~2012年)
この活動は、山岳地帯に位置する3つの村において、農畜複合生産=「統合農法」の手法と水源確保のためのチェックダム(小型堰)の普及により、食料自給率向上と安定的な水の確保を図ることを目指して始められました。
具体的な実施方法は、
- 地域の農業や自然環境の変化を学び「統合農法」への転換意識を高める導入ワークショップ
- 青年や女性など普段村の経済活動に直接関われない層への活動参加を促すキャパシティビルディング
- 有機農業による多品種栽培・養鶏・養魚および水源確保(チェックダム-小型堰の設置)に関する各種技術トレーニング、そしてトレーニング後の個別指導および資材の供与
の3段階に分けて行なわれ、これと並行して森林保全と収入向上を目的としたコーヒーと果樹の植林指導も実施されました。
これらのトレーニングの結果、3村※で水源保全の意識が向上し、建設されたチェックダム(小型堰)からの水道管敷設により、ほぼ全参加世帯に水を引くことが可能となりました。また養魚・養鶏トレーニングでは、参加世帯の約3分の1が自分の敷地で養魚または養鶏を開始しました。今回配布された稚魚と鶏のヒナは、飼育により増やされ2年目以降に別世帯に配布することを義務としており、ほぼ3年で全参加世帯に行きわたる予定となっています。さらに、伝統野菜の種の保存と管理を目的とした「種銀行」と称するライブラリーでは、148種のデータベースを作成し、その中でも希少な品目を選んで約50種の見本が展示され、今後の「統合農法」による栽培品種の多様化が期待されています。
各村人の本プロジェクトへの参画が進むことはもちろんですが、トレーニングを受けた村人たちの中で特に意欲のある者が、他の村人たちの指導者(モデル農民)となり「統合農法」とチェックダム(小型堰)の手法を普及させる意識が定着していることと、環境保全と食料自給率向上の両面から村が豊かになっていく基盤が整いつつあることが、この活動の一番の成果と言えます。
(※対象村…ファイコーン村、ピトゥキ村、ソプラン村 : 341世帯1,330人)