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活動報告

インドネシア

中央カリマンタン州・ラマンドー自然保護区森林再生支援事業(2011、2012年)

EFFでは、2011年、2012年の2年間FNPFが2010年より新たに開始した『ラマンドー自然保護区』での、熱帯林再生事業に支援しました。

ラマンドー自然保護区は、中カリマンタン州スカマラ地区にある約5万6千ヘクタールの低湿地帯で、ここには絶滅危惧種であるオランウータンやテナガザル、オナガザルが生息し、その他ホエジカ、サンバー(水鹿)などの希少な野生動物も確認されています。

また、この場所は、インドネシア環境省により、森林伐採・火災などにより行き場を無くして保護されたオランウータンをリリースするための指定地とされており、これまでに160頭以上のオランウータンが放されています。しかし、そのような重要な保護地であるにも関わらず、この地域もすでに違法伐採や度重なる森林火災によりほとんどの森は消失し、土壌は、乾燥し砂状で養分が殆どない状態となっています。

せっかく自然に返されたオランウータンも、住む森も食べる物も少なく生存が危ぶまれており、ほかの野生生物にとっても決して生息に十分な自然環境であるとはいえない状況にあるため、早急な森林回復が望まれています。

FNPFではこの保護区内をリサーチ後、わずかに残っているいくつかの小さな面積(2~5ha)の森林を確認し、それらを結ぶ「緑の回廊」を作る植林活動を開始しました。5年間で約40haの植林を行う計画とし、初年度の2011年(雨季の11月~2012年2月)にはまず2つの飛び地の森林をつなぐ幅30メートル、長さ2.4km、面積にして7.2haの土地に8,000本の植林を実施しました。樹種はウバ、サマク、レッドバラウ(フタバガキ科)など根が横に広がって伸び、耐火性が強いものが選ばれています。この植林地の成長を見ながら、来年はさらに3万本以上の植樹をする計画になっており、すでに苗木作りが始められました。さらに、現地からの報告によればさらに2012年度は29,250本の苗木を約3kmに亘って植樹しました。また昨年植えた場所に沿ってさらに 2km 以上に亘って 12,000 本の補植も行いました。これにより野生生物は数年後には約 5km の回廊を自由に行き来することが可能と なり、行動範囲が格段に広がることになります。植樹された樹種は Ubar Samak (Syzygium polyanthum)、 Belangeran (Shorea belangerans)、 Pelawan (Tristania mainganyi)などであり、初年度に植えた苗木は80%の確率で活着していると報告されています。 順調に進んでいる植樹活動ではありますが、最大の脅威は乾季になると高い確率で発生する森林火災です。こ の地域は他の伐採地と同様に土壌は劣化が激しく、繁茂する雑草は非常に燃えやすいため、一度火がつくと瞬 く間に広範囲に延焼します。何日もかけて苦労して植えた苗木が1日にして焼失してしまう事態も過去に経験し ています。高価な消火器を大量に常備することは資金的に難しく、また一方で供給が限られている水を消火活動 に大量に投入してしまうと、今度は乾季の苗木への水やりが不足するというジレンマもあります。スタッフはパト ロールを強化して、違法狩猟者による焚き火の燃え移りや意図的な放火などを取り締っていますが5万ha以上の広大な土地を監視することは容易ではありません。 しかしながら FNPF のこのような地道な努力と堅実な活動により、ラマンドーの森林は少しずつですが回復に向けて前進しています。EFFの資金的な支援は、2012年度までとなりましたが、日本においてもぜひこの活動を広く紹介しサポートしていきたいと考えています。